認知症が世界を変える

認知症の傍に四半世紀。日々医療の現場で認知症に思う、私の現在・過去・未来。

年齢相応、リアル・アラ9

88歳でも、背筋を伸ばして社交ダンスやカラオケをたのしむ、酒豪女子がいる。

 

90歳を過ぎて、投げ技をきめる男子がいる。

 

ろうろうと戦争体験を語る男子、

 

手作りの大根でお漬物を振る舞う女子、

 

自炊男子、夜遊び女子、浮気男子、先生女子…

 

皆んなテレビの中じゃない、

 

普通にわたしの周りにいる。

 

 

 

今時のアラナインの、これが普通だと私は思っている。

 

 

 

そんな中、この半年で急に物忘れをし始めて…

 

とか、

 

急に身体の動きが鈍くなったと聞けば、

 

 

 

アルツハイマー病とか、レビー小体病とか、

 

老化に伴う認知症性疾患である可能性は高い。

 

 

 

実際にかなりの確率でDAT scanは低下しているし、

 

加えて、栄養障害などがあって、

 

アパシー抑うつ的になっている場合もある。

 

 

 

打つ手がないなら仕方がない。

 

けれど、もし、

 

生活習慣の改善とか、薬とか、

 

少しのアシストで、死ぬまでのあと何年かを、

 

自分の意思で動けるようになるならば、

 

家族と笑顔で過ごせる時間が増えるならば、

 

その時が来ることの覚悟が出来るならば、

 

それでも、年だから何もする必要がない、と、

 

あなたは自分の人生を切って捨てるのだろうか。

 

 

 

再び旅行に行けたことや、

 

3ー4年延びた自宅での生活は、

 

当事者を含むすべての人にとって、無意味なことなのだろうか。

 

 

 

ある人が、物忘れの検査に行ってこう言われた。

 

「いっても91歳。」

 

て、だから何なんだ

 

 

 

私の周りのアラナインは、

 

自分の人生を諦めてはいないぞ!

 

ちゃんと消費活動もして、社会の役に立っている!

 

 

 

そうじゃないアラナインは、やっぱりどこか不自然だ。

 

基準なんてありもしない年齢相応って言葉で、

 

放って置いて、

 

診断したって薬だけ出して

 

歳と病気のせいにして、諦めさせたり納得させたりしようとすると、

 

それを聞いた人は、規定通り、年をとって、病んで、介護されて、死んで行く。

 

 

 

そりゃ、薬を使ったせいで、レビー小体病とわかっていても、

 

悪くなる場合もあるけれども………

 

 

 

皆んなお願いだ!

 

年を取った自分をあきらめないでくれ!!

 

いつだって、身体が病んでいたって、

 

多少思い通りにならないことがあったって、

 

この街で、この国で、この世界で、この地球で、なんなら宇宙で、

 

せっかくの命を、身体を張って、最後まで味わい尽くすと決めてくれ!

 

年だから、と、諭してくる声に、耳を傾けないでくれ!

 

その為に必要な医療は遠慮せず受けてくれ!

 

そして、死に様にもちょっとだけ思いを馳せてくれ。

 

そうしてくれるとき、たくさんの応援の手が集まる筈だ!

 

そして認知症問題も解決へ向かうのだ!

 

 

と、クリニックの中心で叫ぶ的な。

 

 

わたしはあなたの選択を尊重します。