認知症が世界を変える

認知症の傍に四半世紀。日々医療の現場で認知症に思う、私の現在・過去・未来。

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

認知症の終末期医療について考えたこと

あることをきっかけに、認知症の終末期医療について改めて考えてみた。 springplanting.hatenablog.com springplanting.hatenablog.com 胃瘻導入についての意思決定支援として公式に公開されているガイドラインは2つある。 いずれも、認知症本人にとっての最…

認知症の延命治療:追記

「胃瘻をいれた状態での自然な死というのもあるのではないでしょうか。」 「一つの機能を失っても、生きて行ける方法があるならば、それを選択したいと思います。」 認知症の終末期、栄養や水分を口から摂取できなくなった家族を前に、呟かれた言葉たち。 ア…

認知症の寿命

認知症には寿命がある。 高齢者認知症の原因で、もっとも多いのはアルツハイマー病。他にレビー小体病、前頭側頭型認知症と共に、変性疾患という、脳の神経細胞が徐々に少なくなって行く病気だ。 主に大脳皮質という、脳の最外層がその機能を失って行く。 脳…

自閉症の僕が飛び跳ねる理由

ちょうどユマニチュードやナラティブ・ケアが紹介され始めたころ。 施設内を行き交うスタッフを目で追ったり、宙を眺めたりしている諸先輩方に、言語性コミュニケーションを試み、彼ら彼女らの心の場所、認知症とそれ以外のもを探していた。 中には、失語で…

認知症の人とのコミュニケーション

介護老人保健施設での勤務は、緊張の連続だった。 求められている役目や仕事は何か、ドキドキしながら探していた。 そんな私は、施設で過ごす人生に大先輩たちと、 挨拶ができること、目が合い微笑みあえること、 この2つにどれほど救われていたことか。 認…

それ、認知症と関係ありますか?

時にレポート用紙何枚もにわたり、認知症の人の暮らしぶりを書いてくれる介護者がいる。 多くは記憶違いや幻覚・妄想、怒りっぽさなど認知症一般に見られる状態。 認知症の本人が自覚していることもあるし、身に覚えがないと言われることもある。 介護者の戸…

言葉の抽象化

認知症を診断するための検査のなかに、前頭葉という脳の前半分の機能を調べるFABがある。 その一番最初の問題が言語の抽象化能力を調べるものだ。 どういう問題かというと、例えば、 問題:人生ゲームとモノポリー 答え:ボードゲーム のように、複数の物事…

はじめての認知症外来

受診の目的がはっきりしていない診療には時間がかかる。 病院に来るまでには、何らかのいきさつがあったのだろう。 問診票の主訴の欄には特に記載がない。 困りごとの相談ですか?と質問すると、「勧められたから。」と主体的ではない様子。 生活の様子を伺…

認知症の定義と運転免許

springplanting.hatenablog.com 前回に引き続き。 診断する側) 恐怖心 + 職責・義務 vs される側) 恐怖心 + 自尊心 この構図を今の認知症の定義に当てはめて使われるロジックの一つは、 「認知機能は低下しており、病気かもしれないが、生活機能は保たれてい…

運転免許取り消しの診断

認知症と診断されると運転免許を取り消されることになっている。 「あなたはこう言う理由で認知症と診断されます。」 理想「ハイそうですか。わかりました。返納します。」 現実「認知症かどうかは知りませんが、運転はまだ出来るし、〇〇歳まで(又はあと2〜…

『認知症』とは何だ?

そもそも「認知症」という日本語は何を示すのか? 勉強会用のスライドをつくる度に自分の中で沸き起こる混乱を、どう頑張っても長らく上手く言語化できなかったことが、私の認知症への対応をどこかで曖昧にしていたように思う。 一般的に認知症という言葉は…

新月の宣言

2019年3月7日。魚座の新月にこのブログを書くことを決めた。 日々、認知症を疑われる方、認知症と診断される方とばかり向き合ってきた。 ここ数年は特にそれでしかご飯を食べてない。 医療の現場、介護の現場、日常の生活の場所。 色々な場所で出会う「認知…